持ちネタ

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person holding white and blue business paper

ビジネスの上での持ちネタの話をしよう。
今日は世界的にも有名な人物が逝去された日ですからね。

以前ある人がこう言いました。

「ジョブスはやってることは昔から何も変わらない」

これはある意味での褒め言葉でもある。
ジョブス自身も「他人のことは気にせず自分の道を行け」ということを言っていたとか。
正解か不正解かは置いておいてその潔さは見習いたいもの。

さて「何も変わらない」っていうのをもう少しキチンと言うと
持ちネタとしての彼が信じ切ってるビジネスモデルがあるということだ。

それで負けても仕方なし、と思っていて、
仮に負けても何度でも同じ技で勝負しにいくこと。

多分彼の歴史を真面目に紐解いてくれる方々の何かしらやら書籍やらを見れば合点がいくだろう。
なのでここでは書きませんが。

まぁ言ってみれば『スタイル』ってやつだ。

さて、ジョブスのスタイルって?
この問いに対する答えはヒジョーにシンプル。
圧倒的シェアを取る製品を作り
プラットフォームを確立すること

ええ、そんだけ?もっと複雑じゃないの??
という疑問はもっともなんだけど、多分こんだけ。

iPodを作った時点でiPhoneをどれだけ真剣に考えていたか?
iPhoneを作った時点でどこまでiPadに流用するつもりだったか?
iTunesを最初に作ったときにApp storeの構想がどこまであったか?

そんなもんぶっちけ後付けだらけなんだと思う。
いろいろ言う人は言う(彼は全てを見通していた、とか?)だろうけどね。

でも逆に、彼は多分確信していた。
プラットフォームを牛耳り、存在感を確立すれば、必ず次が見えると。

実際
AppleでなければiTunesStoreにこんなに多くの楽曲が揃わなかっただろうし、
iPhoneがなければAppStoreにこんなにも皆の熱が注がれることもなかっただろう。

ま、「ほ〜ら、それ見たことか」って聞こえてきそう。

数量を増やすことの効果は製造業において調達コストの意味で圧倒的だし、
iPodでチャンスと資金を得たジョブスはその後のプロセスへのきっかけとして有効に使った。

一時期のAppleのスタンスとは明らかに違うスタンスだったんだろうけど
彼は彼のスタンスを貫き通し、紆余曲折と七転八倒の末に信じ続けたことが形を成し始め、
そして目の前に『やっぱり』転がってきたチャンスをきっちり掴むことができた。

さて、スゴい人の話のあとに卑小なる自分の話をするが恐縮しない。
自分が新卒で前職を選んだ時のことを思い出す。
エンジニアって職種は閉ざされているようで案外そんなことはない。
自分の可能性ってもんにちょっと目を向ければ実は選択肢なんてゴロゴロしてる。

それに気づいたのはいろんなとこに就職していく先輩たちを見送っていく過程で。
商社、金融、コンサル、証券、VC、広告、テレビ、etc.
まぁ実力があればどんなとこでも、ってのは事実だとよく分かった。

でも自分の中に譲れない信じているものがあることに気づいたのはしばらくしてから。

ものを作って売ること

それが自分が信じる『真の商売のスタイル』であり、
それをハズしたときに落とし穴が待ってるんだろうなと。

おれは今後の社会の行く末にあまり楽観はしていなくて
よっぱどひどい状況が来るような気がしている。
そのときに生き残るのは『ものを作って価値を生み出している人間』だけだと信じている。

当時なんて20そこそこのようやく毛が生え揃ったガキの考えたことだった。
とはいえ今はいろいろな経験を積んで酸いも甘いもではなく酸いばっか吸わされ
髪の毛は意地でも現状維持、そして体型は微妙に崩れ始めた30代。

でも基本的な考え方は変わらない。きっとこれからも変わらないんだろう。

なかば宗教みたいなものだ。

でもいいじゃないの。それが持ちネタなら。

九頭龍 'kuz' 雄一郎 エンジニア/経営者, 日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。 株式会社ClayTech Founder/CEO, 監査役DX株式会社 Co-founder/CTO, 株式会社スイッチサイエンス取締役, 株式会社2nd-Community取締役, 東北大学客員教授, 東京工業大学非常勤講師, 武蔵野美術大学非常勤講師, 他複数社の顧問など。

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