独自性がなくても起業しなはれ

By | September 27, 2019

昔こんなポスト

小林亜星が「音楽なんてほとんどがパクリ」と言ってたけどそれはある意味で真理なわけで、
http://www.clazytech.com/2013/12/95/

を書いたわけだが、「独自性が弱いんで。。。」と起業を諦める言い訳くさい話を聞くことがたまにある。 まぁ大抵はもうちょっと強気なわけで「独自性が弱いように思うんで、どうすれば差別化できますかね!?」と聞かれる。
きちんとそれぞれの事業分野や技術的チャレンジに即してアドバイスをする。
基本は
– 他社・他人がやらないこと、その理由を探す
– その理由を大胆な方法で打破する
– その際に自分なりの強みが活かせれば満点 ということだ。
しかし事業分野によっては技術的チャレンジが無い、もしくは取り立てて必要されていないようなケースもあるのだが、そういうケースについて概して言えば

「別に独自性は生まれてくるものだから深く考えなくても良い」のだ。

これはある種逆説的で、「これがおれの独自性だ!!!」って思ってても、完全な独自性を確保する方が極めて難しい。

「アイディア」をことさら大事にし過ぎるな

とも言っておきたい。これは最初に示したポストにあるとおり、結局のところ最初のスタートの優位とか素養とか、大した問題ではないのだ。 経験的にも、日本で最初に聞いた時に「うわぁ、独創的だなぁ、すげぇなぁ」と思った事業プランをよくよく調べてみると北米、ドイツ、韓国、イスラエルで同一なアイディアを論文にしたり試作品を展示会に出している会社がいることを知った、なんてこともある。(なおちょっとしたら日本の大手企業も同じアイディアの試作品作ってたりして。結局私が無知だっただけで、全然独創性なんてなかったわけだ)

独自性とかなかなか大変。

しかしポジティブなセリフは言える。 あるチャレンジングな領域に飛び込む場合、毎日が問題の嵐だ。毎日毎時選択が迫られ、その選択を間違うだけで会社が生きるか死ぬかのピンチに陥るし、逆にそこが明白に「差別化が生まれるチャンス」でもある。 同じ状況で全く同じ選択肢を取るコンペティターがどのくらいいるだろうか?ひとつだけならまだいるかも知れないが、2つ、3つ、4つと日々連なる選択と後悔と改善の毎日に、全く同じ歩みをする会社がどのくらい残るだろうか? 選択肢が合っているかどうかなんて私は知らない。あなたも知らない。コンペも知らない。 でも、そこには確実にあなたらしさとあなたの会社らしさが出てきているはずだ。これはもう明らかな独自性である。

投資家向けなんだよね。結局。

投資家は「ヒト」というものを量る必要がある。 ほとんど初期のスタートアップはビジネスプランもクソで技術的アイディアもクソなことがほとんどだ。ついでに言えば虎の子のプロトタイプもクソだ。 でもそこから「何か」を見出す人は彼らなりの独自の目線を持っている。 すでに収益化されているレイターステージの会社にしか入れない人は財務諸表に対する痛烈な眼力だろうし、アーリーにしか入れないと決めている人は「ヒト」を見る眼力だろう。 あるエンジェル投資家の方が「九頭龍さん、私は入れる人のタイプを決めててね。絶対諦めない人なんだよ」とおっしゃっていた。彼は若い起業家(大抵初めての起業)に入れるのがほとんどだ。彼らを推し量れるものなど存在しない。ビジネスプランもその後ろ盾になるような技術も、言っちゃなんだが非常に脆いものだ。彼らは間違いなく死にそうな思いの二度三度を乗り越えなければ1年余りで死ぬ。それを乗り越えても次はグロースさせる課題にぶち当たり、それまでの知識と価値観と方法論の転換を迫られまた匙を投げそうになるだろう。これも越えられる人材は、頭脳、人間性、カリスマ性、まぁ色々必要だろうが、最も大事なことは、彼の言葉を借りれば「諦めない心」なのだろう。

さて、自分を信じよう。

特に非エンジニアの起業家の場合、研究成果や有名な教授の後ろ盾とか、そんなものはない場合が多い。でも自分を信じよう。
投資家は「独自性が足りない」とか「トレンドがわかってない」とか「エッジーじゃない」とか色々いうかも知れない。でも自分を信じよう。
失敗するかも知れない。箸にも棒にもかからないかもしれない。そのあと立ち上がれなくなるかも知れない。でもしばらくしたらもう一度やりたいと思うことができるかも知れない。継続して自分を信じよう。

起業なんて100%のコミットメントを発揮するイベントは人生でそう何度もないかも知れない。たっぷりエンジョイして欲しい。


> Author Profile
九頭龍 雄一郎 Yuichiro “kuz” Kuzuryu
エンジニア/経営者
日本の大企業での新事業立ち上げからシリコンバレーのスタートアップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。
株式会社ClayTech CEO, Founder
株式会社EYS-STYLE 取締役
株式会社144Lab 取締役
東北大学客員教授
その他複数社の技術顧問、アドバイザーを務める
https://twitter.com/qzuryu
https://www.facebook.com/qzuryu
https://www.linkedin.com/in/yuichiro-kuzuryu-kuz-27b92838/

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *